恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

『何見てんだよ、このブス!ぶっ殺すぞ!』

とか言われて、逆鱗に触れるのが怖かったんだもの。

先輩は耳のピアスを私に見せながら続けた。

「石とは、これのことだ。
……これは……人狼王を自ら選ぶ石なんだ。昔、俺達を創造した天狼神(てんろうじん)の魂から出来た石だと伝えられている」

私は、先輩の口から出た神話的な話に眼を見張った。

「天狼神?石が人狼王を選ぶ……?」

先輩は頷いた。

「現人狼王の命が尽きるとすぐ、この石はその身体を離れ、次期王の身体に宿るんだ。大抵、石に選ばれた者はすぐに王となるが……俺はなれなかった」

「……どうして?」

「石に選ばれた当時、俺はまだ十歳だったからだ」