恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

先輩はゆっくりと立ち上がりながら、私の腕を引いた。

たちまち目線が逆転し、私は背の高い先輩を見上げた。

「アイツは……翠狼は、人狼王の座を狙ってる。石は俺を選んだが、ヤツはそれが気に入らないんだ」

「石が選ぶって……?」

私の問いに、先輩が顔を傾けた。

先輩の耳のピアスが、キッチンのライトで柔らかく光った。

プラチナの台座はレトロな風合いで、その中央に大きくて真ん丸い白乳色の石が鎮座している。

これって……ムーンストーンなのかなあ……。

実は私、先輩のピアスをちゃんと見たことがなかったんだよね。

だってジロジロ見て、