恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

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「何時だと思ってるんだ」

家にたどり着いた私を見下ろして、雪野先輩は低い声でそう言った。

黙って部屋へ行こうした私の腕を雪野先輩が素早く掴む。

「あれから二時間だぞ。真っ直ぐ帰れといっただろーが」

ぷちん、と私の中で何かが弾けた。

「うるさいっ!!」

雪野先輩に向かって自分がこんな事言うなんて信じられなかった。

でも、胸がムカムカして言葉が止められない。

私は雪野先輩の手を振り払うと、肩に掛けていたポスターケースの中身をぶちまけて叫んだ。

「誰のせいでこうなったと思ってんの?!アンタのせいで、大切な画を破られた!コンクールに出す大切な画だったのに!」