恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

あっ、それとも死んだフリとか?

でも、

『とどめを差す手間が省けてラッキー!』

とか思われて、ガツガツ食べられても嫌だし、

『今は腹減ってねーわ。後で食うぜ』

とかいう理由で土の中に埋められちゃったりしたらやだし。

……とにかく犬の顔つきからみて、私に友好的感情がまるでないのは明白で。

やだ、マジでどうしよう!!

その時犬が満月を仰いだかと思うと、クルリと私に背を向けた。

……も、もしかして、帰るのだろうか。

……私、助かったの?

どうやらそれはビンゴみたいで、犬は振り返ることもなく、藪の中に消えていった。