恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

メットを脱いでバイクから降りた私は家に入り、自室からデッサンセットを取ると外に出る前に、リビングに足を踏み入れた。

あ!

テーブルの上に、旬が持ってきたDVDがあの時のまま置いてあった。

私はそれを手に取ると、玄関先で待っていた雪野先輩に、

「これ、旬に返してきます」

雪野先輩は私を真っ直ぐ見て口を開いた。

「返したらすぐ戻れ」

「……はい」

旬の家は、お隣だけど私の家の北側で、南の道路に出て角を左に曲がらなきゃ旬の家の玄関には辿り着けない。

「すぐ戻ります」

私はそう言うと、旬の家へと歩き出した。