だけど、気持ちとは裏腹に、気づくと大股で結城に向かって歩き出していた。

言っちゃだめ。

言っちゃだめ!

気配に気づいたのか、結城が座ったまま体ごと私に向いた。

目が少し開いて、驚いたような顔。


「なんだ、お前・・・・・・」


そう言いかけた結城にかぶせるように、

「あんたねえ!」

メガネのあたりを指さして叫んだ。


「いったいどういうつもりなのよ! 昨日の失礼な態度といい、今日の強引な展開。土曜日の夜っていったら、私たちにとっては貴重な時間なんだよ? それを、ロクに説明もせずに捜査に参加させといて、お礼のひとつも言えないわけ!?」


なんだなんだ、と周りの刑事たちが一斉に私たちを見ている。


でも、もう・・・・・・止まらない!


「だいたいさ、クラブって好きな人と行くものなんだよ! 私だって、初クラブをすっごくすっごく楽しみにしてたのに。なんでよりによってあんたなの!?」


結城は表情を変えずに、不思議な生き物でも見るような顔で私を眺めている。

動物園にいるめずらしい動物を見ているみたい。


それがまたムカつく!