【望美】

「暑い〜」

『そんな暑い暑い言うな、こっちまで暑くなる』

「ホントの事だなら仕方ないじゃん!」

季節は、夏に変わって七月―――

学校生活にも慣れてきて、制服も夏制服へと変わった。

「でも、本当に暑いね」

『これじゃぁ溶けちゃうよ…』

今は昼休み、久しぶりに中庭でお弁当を食べていたんだけど…。

外は思ったより暑くて、少し後悔している。

「ねぇ、今からでも教室戻らない?教室クーラーきいてるしさ」

「外で食べようって言ったの晶でしょ?食べ終わるまで戻りません」

「沙弥佳のけちー!」

でも、外で食べるのは嫌いじゃない。

風に吹かれる木々を見れたり、綺麗な青空も見れて、次描く絵の構成が浮かんでくる。

『そういえば、奈津たちはどうしたの?』

「奈津なら、新くんたちとサッカーの話し合いしてたよ」

『相変わらず熱心だな。晶もそうだといいが』

「こ、これでも頑張ってるじゃん!先週のテストだって、学年五位に入れたし!」

『お前はそれで満足するのか?いいか、俺がお前に勉強を教えている以上は、学年一位を必ず取ってもらう』

「アカツキが決めるハードルは高いね」

『それがアカツキだからね』

「てゆか、沙弥佳さっきから何の動画見てるの?」

沙弥佳は、携帯にイヤホンを指して何かを見ているようだった。

「セツナライブですよ」

「「セツナライブ?」」

なんか聞いたことがあるようなぁ?

「もしかして知らないの二人とも?今人気上昇中のアイドル、東雲刹奈(しののめせつな)だよ」

「うん、私はまったく知らない」

晶は、遠くを見るような目を泳がせる。

「名前は聞いたことあるよ、でも曲はあまり知らないかな」

『そんな!勿体ないよ望美!』

「知ってるのシンク?」

シンクは、瞳を輝かせて語る。