「あ、前半終わったよ」

奈津達は、一度ベンチへと戻り水分補給をしている。

そこに有水がいて、奈津にベッタリ張り付いて離れないでいる。

「うわぁ、奈津のあの表情」

「もの凄く鬱陶しく感じてるね」

「あ、ははは…」

奈津の気持ちを知って、結婚を前提に付き合い始めたけど、やっぱり有水の事は怖い。

「小早川さん、こちら見てますよ」

「えっ!」

佳絵羅に言われ奈津の方を見ると、奈津と目があった。

「手でも振ってみたら?」

沙弥佳に言われ、私は軽く手を振る。

奈津も振り返してくれた時、何故か周りの先輩達からどつかれていた。

「羨ましいんだろうなぁ」

「そうですね」

「なんで?」

「だって、そりぁ…」

「?」

何が羨ましいんだろう?

特別なことなんてしていないけど。

「ほら、後半戦始まるよ」

「あ、うん」

私の肩にルルが座る。

『今日ハヤテもあっち行ってるから、私も頑張って応援するぞ!』

「そうだね」

チラッと後ろを振り返った時、私はある男の子に目がいった。

(あれ?)

顔立ちは大人っぽくて、髪は黒っぽいけど青色で、眼鏡を掛けてて、左目の下には泣きボクロ。

そして、奈津達のサッカーの試合をじっと見ていた。

(誰だろ?)

「ほらっ!望美」

「ご、ごめん」

すこし気になったけどいいか。

私は、奈津の応援に集中した。