【望美】

「今日美術室で壺のベタ塗りをしたんだ」

「へー、望美の絵また見たいなぁ」

「今度見せてあげる」

前の私なら、奈津に絵を見せるのは恥ずかしかった。

でも、今は奈津に絵を見られるのは、もう恥ずかしくなかった。

それよりも、奈津に絵を見てもらいたいと思えるようになった。

「ルルは、デッサンだったよね」

『うん、これだよ!』

ルルは、私たちに絵を見せる。

『やっぱりルルは絵描くの上手いよな』

『そ、そんなことないよ!元は、絵の妖精だったし』

『また、俺を描いてくれよ』

『え、いいの?』

私は、そこでちょっと疑問に思った。

いつもなら、モデルになるの嫌がるのに…。

それとも、やっぱりモデルになるの嬉しいのかな?

「どうしたんだ?ハヤテのやつ」

「分かんない」

でも、ルル嬉しそうだからいっか。

私も奈津に聞いてみる。

「また、奈津の絵描いてもいい?」

「描いてくれるのか?」

「うん!奈津が良かったら」

「俺はべつにいいよ」

奈津は、そう言い私の手を握る。

「あ……」

私の手に熱がこもる。