妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

【天翔】

僕は、じっと彼女が出ていった方を見ていた。

「あれあれー?ひょっとして天翔、望美ちゃんのこと気になるの?」

「そ、そんなことないよ!」

僕は、慌てて鞄を掴む。

「そ、それじゃぁ僕も先に行くね!」

僕は、逃げるように美術室から飛び出す。

「ちょ、天翔!」

若菜の声が後ろで聞こえたけど、僕は振り返らず校門へと向かった。

「はぁ……はぁ」

僕は、校門の外を見回す。

「流石にもう居ないよね」

若菜が僕が望美さんの事を好きなのかとからかってくるけど。

正直そうなのか分からない。

会ってまだ一ヶ月も経ってないし。

でも、彼女を見ていると、自然と僕も笑顔になれた。

望美さんは、絵を描く楽しさを知っている。

そんな彼女が羨ましいとたまに思う。

「いや!そこで好きとかは別だよ!」

左右に首を振る。

すると、グラウンドの方から聞き覚えのある声が聞こえた。

「あれは?」

僕は、直ぐに彼女だと思った。

そして、何故か隠れてしまった。

「それでね、今日美術室でね―――」

隣には知らない男がいた。

「彼氏……か?」

二人は、凄く楽しそうに話していた。

それを見た僕は、胸が痛んだ。

「なんだろう、この感じ……」

僕がこの気持ちに気づくのは、まだ先のことだった。