妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

やっぱり、絵を描くのは楽しい!

それからあっという間に帰る時間になって、私たちは片付けを始めた。

「よいっしょ」

イーゼルを元の位置に運び終わる。

「お疲れ様莎々原ちゃん。いやー、本当に助かったよ」

「それは良かったです」

私は、チラッと外のグラウンドを見る。

奈津たちも丁度終わったみたいで、ボールを片付け始めていた。

「では杏鈴さん、天翔先輩、若菜先輩、先に失礼します!」

三人に頭を下げて、私は美術室から出ていく。

「本当にいい子だよね。あの子なら、私みたいな絵を教える立場になれるんじゃないかな?」

「僕もそう思います」

「天翔くんも、絵の講師志望だっけ?」

「違うよ先生、天翔は学校の先生になりたいんですよ」

「へー、そうなの?頑張りなよ」

「はい」

天翔先輩は、私の出ていった方をじっと見ていた。