妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

【望美】

それから放課後になって、私は美術室に向かった。

『楽しみだね、絵を描くの』

「そうだね」

今の私は、絵が描きたくて仕方がなかった。

美術室の扉を開けて中へと入る。

「こんにちは!」

「あら、莎々原ちゃん!早いわね」

中には既に杏鈴さんが居た。

「杏鈴さんも早いですよ」

「そうかなぁ?それより、手伝ってもらっていい?」

「あ、はい!」

鞄を机の上に置き、杏鈴さんと一緒にイーゼルを運び出す。

「よし、これでいいかな」

「こんにちは!」

「お、きたきた」

天翔先輩と若菜先輩が教室の中へと入ってくる。

「望美ちゃん、早いねぇ」

「私の後に来たんだよ、素晴らしい子だよ」

「いえ、そんな!」

大げさに褒められて照れてしまう。

「私は、早く絵が描きたかったので…」

「でも、絵を描きたいと思うのはいいことだと思うよ」

天翔先輩優しいなぁ…。

「なになに天翔、望美ちゃんのこと本気で好きなの?」

「お、おい若菜!」

「ん?」

天翔先輩は、若菜先輩の口を抑えていた。

(先輩たち仲いいなぁ)