妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

奈津の気持ちって、なんだろう?

「何か心当たりあるの?」

「え、いや特には……」

とりあえず、晶たちには黙っておこう。

「でもさぁ、付き合って二年経つのに、二人ともまだ“あれ”してないんだよ」

「あれ?」

「キス!」

私は、ご飯を喉につまらせてむせる。

「……な、何言ってんの?!」

き、キスって単語何でそんな簡単に出せるの?!

「今更恥ずかしがらなくても良いじゃん
!」

「いや…、この二人手を繋ぐだけでも五ヶ月掛かってるからね。まさかキスするまでそんなに経つとは思ってなかったけど…」

「だ、だってー…」

恥ずかしいんだもん……。

前に一回しようとしたんだけど、奈津が辞めちゃって…。

(私とキスしたくないのかな?)

『それはないよ?』

『ルル?』

校内の見学に行っていたルルたちが戻ってきた。

隣にはもちろん、シンクもいる。

『だって、あんなに望美に惚れてるんだから、キスしたくないとか思ってないよ!』

「そうだといいけど…」

『そうだよね!ハヤテ!』

『えっ?!』

急に話を振られて焦るハヤテ。

『ま、まぁそうだなぁ。少なくとも、キスしたくないとは思ってないぞ』

「そ、そっか」

なら良かった。

『望美って面白いね』

シンクは、私の手のひらに触れる。

『私が緊張しない為のおまじないかけてあげる』