【オルド】

『厄介なところにいたものだ』

俺は、映像に映るシンクを見る。

『見つけたと思ったら、まさかルルと会っていたとは』

これは、ヴィーナスに報告すべきか、それともしばらく様子を見るか。

まだ本人の記憶は、戻っていないみたいだしな。

『記憶は戻っては困る』

お前は、この世界にとって異物なんだからな。

『でも…、何故扉が開いたんだ?』

あの扉は、俺の持つ鍵でないかぎり開かない。

なのに、シンクはどうやって開けたんだ?

俺は、人間界と妖精界を繋ぐ扉を管理している。

俺が許可を出せば、人間界には簡単に行ける。

だが、そう簡単に許可は出せない。

ヴィーナスを除いてな。

『とりあえず、しばらく様子見だな』

シンクの動きがあったら、俺はお前を止めるぞ。

『殺してもな……』

俺は、そのまま姿を消した。