妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

シンクは、私の怪我をしたところに触れると、簡単に傷を治した。

「痛くない……」

『すごーい!あっという間に怪我がなくなった!』

『小さな傷なら治せるんだよ!』

私たちは、有水に向きなおる。

「な、何?!今日のこと、先生にでも言ったら?」

「言わないよ」

私は、鞄を持って立ち上がる。

「な、なんでよ!」

「貴方は、奈津が好きなんでしょ?だったら、正々堂々と奪いに来なよ!」

「なっ!」

「でも、私は貴方には負けない。奈津が好きって気持ちは、貴方には勝てる」

有水は、唇を噛んだ。

「私……、あんたのそういうところ嫌い。いい子ぶってさ……」

有水は、私に指をさす。

「いいよ、奈津くん。貴方から奪ってあげる」

有水は、そのまま階段を降りていった。

「うっ……」

『望美?!』

急に眩暈がした。

『もしかして、まだ痛いところある?』

「ううん。大丈夫」

私は、シンクに目を向ける。