私は、自分の描きたいものを想像した。

隣では、ルルもスケッチブックを出していた。

『桜描きたいなぁ、それに川も…』

私の中で、描きたいものが決まり、手を動かす。

「ごめーん!遅れた!!」

美術室の扉が勢いよく開けられ、息を切らした女の先輩が入ってきた。

「遅いよ若菜(わかな)」

「ごめん天翔!本部会が長引いちゃって」

もしかして、この人が副部長の人かな?

「紹介するね、副部長の有野若葉(ありの)。生徒会では、書記をやっているんだ」

「そ、そうですか」

部活と生徒会をやってるなんて、凄いなぁ。

「あれ?入部希望者?」

「そう!今好きなものを描かせてる」

「やった!入部希望者!」

若菜先輩は、鞄を置くと奥の部屋から絵の具を持ってきた。

「良かったら、塗っていきなよ」

「え……」

「自由に使って」

初めてそんなことを言われたので、嬉しくなって泣きそうになった。

「ありがとうございます!」

それからしばらく、私は絵の下書きを終えた後、絵に絵の具を塗った。