【望美】

「す、凄い!」

私は、目の前の風景に感動していた。

それは、有名な画家さんが生徒に絵を教えていたからだ。

『へー、噂は本当だったね』

「うん!」

ここに入れば、もっと上手く絵を描けるかな?

「あれ?部活見学かな?」

「え?」

隣を見ると、いつの間にか先輩がいて、思わず驚いてしまった。

「うわぁ!」

「ご、ごめんね!驚かせるつもりはなかったんだ」

「い、いえ」

びっくりした……。

『今日の望美は、驚かされっぱなしだね』

やれやれという感じで、ルルは言う。

「良かったら見ていってよ、今先生が来てくれてて、貴重な体験になるよ」

「は、はい!」

優しそうな先輩だなぁ…。

中学の時も、こんな先輩だったら良かったのに。

「僕の名前は、小林天翔(こばやしあまと)、二年生だよ」

「さ、莎々原望美です!実は、入部をここに決めていて」

「え、そうなの?嬉しいなぁ」

え、笑顔が可愛い。

女の子みたいに笑った。

「実はね、今二年生しかいないんだ」

「どういうことですか?」