「そうだよね、奈津くんは望美ちゃんだもんね」

「だけど、気をつけろよ」

「あぁ……」

あれで俺のことを諦めたとは思えない。

だけど、今日のことは望美には話せないな。

『はぁ……』

『いいのか?妹なんだろう?』

『あんな奴、妹じゃないよ。逆に俺は、あいつと双子ってのが恥ずかしいね』

『そこまで言うか…』

フレイは、新の肩の上に座る。

『行こうぜ新』

「そうだな」

「ねぇ君――」

恭也先輩が新を呼び止める。

「何ですか?」

「確か、君はサッカーの見学に来たんじゃないの?」

「あー…、有水が何かやるって分かってたから来ただけなんで、別に入りたいとかは」

「でも、やっていきなよ」

恭也先輩は、新にボールを渡す。

「……少しだけなら」

その後、練習は再開された。

「……」

俺は、水無月の事を考えていた。

(なんで、俺を欲しがるんだ?)

俺に告白してきたのも、俺を手に入れるためか?

いや…、そうとしか考えられないか……。

『奈津?』

「何でもない」

俺は、新にボールをパスした。