男は、づかづかと俺たちのところに歩いてくる。

「あ、新?!」

水無月は、その男の名前を呼ぶ。

「新?」

「なんで、あんたがここに……」

新と呼ばれた男は、雅史さんの前に立つ。

「あんたさ、いつまでもこんな奴の言いなりになってんなよな」

「こ、こんな奴ってどういうこと?!」

新は、水無月を睨みつける。

睨みつけられた水無月は怯む。

「ほんと、昔から変わんないな……。まだまだガキだな」

「なっ!」

「あの!」

俺は、とっさに声を出す。

「雅史さんの誘い、とても嬉しいです。ですが、決められた相手と決められた未来があるなんて、そんなの俺は嫌です」

水無月は、咄嗟に言い返す。

「でも、私と婚約者になれば世界でサッカーが―――」

「それが嫌なんだ!」

俺は、大きな声を上げる。

「俺は、自分の力で世界に行きたいんだ!お前と結婚して代表になんて選ばれたくない、なら俺はサッカー部には入らない」

水無月は、何も言えなかったのか、顔を伏せた。

「で、どうすんの親父?」

「奈津くんの覚悟は、わかった。すまなかったね」

「いえ……」

水無月は、本当に俺を欲しがっていたんだな。

それで、サッカーってことを餌にして、俺と結婚の約束をさせようとした。

『何だあの女!許せねぇ』

『本来の性格はあっちだ』

『え……!』

ハヤテの隣に、妖精が現れる。

『お前誰だよ?』

『フレイだ。おい、居るんなら姿現せよ』

フレイの言葉とともに、もう一人の妖精が姿を現す。

『なんで邪魔するのよ!!』

『お前を止めるためだ、フレイア!』

『双子だからって……、私のことほっとけばいいじゃん!』

双子?!

『双子の妖精……?』

『あぁ』

じゃぁ、新と水無月は……双子?