「ところで奈津くん。きみに話があるんだが」

「俺ですか?」

「そうだ」

話って何だろう?

「君のプレイは、三人の中でとても良かった。このまま私のところでサッカーを続ければ、日本代表として選ばれるだろう」

「ほ、本当ですか!!」

やった!このまま頑張れば、世界でサッカーができる。

「それで、どうかな?」

「何がですか?」

「私の娘と将来結婚するなら、君を世界の場で練習させると約束しよう」

「え……」

今……、何て言った?

「なっ!」

「有水さんとの婚約だと?!」

その話を聞いていた玲緒と翔は、俺を見る。

「君には私の娘は相応しい!娘はこれでも、相手のことを観察して、得意なところや苦手なところを分析できる」

「いや、でも!」

「これは、願ってもないチャンスだぞ!」

雅史さんは、俺をどんどん煽ってくる。

さっき、こいつは俺に告白してきて振られているのに、そのことをこの人は知っているのか?

俺は、チラッと水無月を見た。

だけど、その時の水無月は俺を冷笑しているように見ていた。

(まさか…)

あいつの作戦か?

「あの、その話は!「断った方がいいぞ!」」

「え……!」

俺たちの後ろで、大きな声が響いた。