掴むか一瞬迷ったけど、私はその手を掴んだ。

「あ、ありがとうございます」

「いいよ別に、こっちこそ悪かったね」

「いえ!私が前を見ていなかったので…」

「じゃぁ、おあいこで」

「…はい」

私は、思わず頷いてしまった。

「俺は、成瀬新(なるせあらた)。よろしく」

「私は、莎々原望美です。よろしく」

「敬語は別にいいよ、同い年だし」

「え?」

てっきり先輩かと思ってしまった。

「あれ、気づいてなかった?俺同じクラスなんだけど」

「えええ!」

私は、慌てて頭を下げる。

「ご、ごめんなさい!気づかなかった」

「ストレートに言ってくるね、でもいいよ。これで覚えたから」

「本当にごめんなさい…」

まだ一日目だから、覚えられてないよ。

『もう、望美はしっかりした方がいいよ』

「分かってる……」

「あれ?君も妖精いるの?」

「え!」

私は、成瀬くんがルルを見えたことに驚く。

「ルルが見えるの?」

「ルルって言うのか、かわいい名前だね。うん、見えるよ。俺もいるし」

成瀬くんは、そう言うと一人の妖精を呼ぶ。

「フレイ!出ておいでよ」

フレイと呼ばれた妖精は、成瀬くんの隣に姿を現す。

『何だ、俺に用か?』

「ちょっとな、自己紹介しろよ」

フレイは、私たちをじっと見てくる。