【望美】

「新入生が入場します!みなさん、拍手で迎えてください!」

先生の合図と共に、体育館の扉は開かれる。

そして、私たちは体育館へと入場する。

「な、何か入学式に見えない…」

辺りには風船が飛んでいたり、先輩たちははしゃいでいるし。

「あ、恭也先輩見つけた」

奈津の見る方向に、恭也先輩が手を振っていた。

「奈津、目いいね」

「え、そうかな?」

私たちは、それぞれの席に着く。

その後はいつも通りで、校長先生のお話や、偉い方からのお話。

『ふわぁ……、眠い…』

ルルは、眠そうに目をさする。

「もう、ルルったら」

ルルは、私の膝の上に座ると、そのまま寝に入ってしまった。

『まったく、マイペースだな』

「そうだな」

私たちは、ルルを見て苦笑した。

入学式が終わったあと、私たちはそれぞれの部活見学に行くことにした。

「じゃぁ奈津、また後で」

「あぁ、先に終わったら迎えに行くよ」

「うん!」

私と奈津は、教室の前で別れた。

「えっと、美術室はっと…」

すぐ近くの角を曲がった時、誰かとぶつかってしまった。

「いたっ!」

「っ…すまない」

声は男の人だった。

「ご、ごめんなさい。こちらこそ」

男の人は、私に手を差し出してくれた。