妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

【アク】

『あーあ、つまんないの…』

僕は、鏡で望美の様子を見ていた。

『事故に合わせたまでは良かったけど、まさか意識が戻らないなんて』

でも、これはこれで面白いかな?

奈津のあの表情…。

僕が今一番見たかった表情だ。

『人間で遊ぶのって、楽しいなぁ』

でも、一つ引っかかることがあった。

それは、ヒュプの気配が消えたことだった。

ヒュプの気配を探って探してみたけど、ヒュプの存在は感じられない。

それに、あの奈津を見る限り、ヒュプの術は完全に解かれている。

(誰かがヒュプを殺したのか?)

妖精を殺すことなんて、普通の人間には出来ない。

一体誰が…。

まさか、僕の知らないところで誰か動いているのか?

だとすると、僕のことを知っている存在になる。

でも、僕のことを知っている人間なんていない。

(ま、いいか…)

ヒュプ一人居なくなったところで、僕の計画に支障はでない。

ヒュプ以上の力を持つ子達を、僕は後に控えさせているし。

特に、あの七人兄弟姉妹たちはね。

僕は、にやりと笑う。

『ごめんねヒュプ、君の力は欲しかったけど、もう要らないや』

僕は、低くそう答える。

『アク』

『なに?オルド』

僕は、鏡を隠してオルドに近寄る。

『お仕事お疲れ様オルド、僕に何か用事?』

オルドは、じっと僕を見下ろしていた。

『…いや、何でもない』

オルドは、わしゃわしゃと僕の髪を撫でる。

『オルド辞めてよ、髪が乱れる』

『悪いな、それじゃあ俺は戻るから』

『えー、もう行っちゃうの?』

僕は、頬を膨らませた。

最近オルドもお母様も何かと忙しそうなんだよね。

何をやっているんだろう?