妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

「どう思うんだろうな…」

俺は、ハヤテを置いてみんなの所へ戻った。

『ちょ、奈津!!』

ハヤテの言葉は、今の俺の中には入ってこない。

誰になにを言われ用が、なにも入って来なかった。

その後も、俺はサッカーの練習に中々集中出来なかった。

そんな俺に呆れた玲緒が「もうお前帰れ」と言われ、無理矢理帰らされた。

「玲緒のやつ…」

でも、玲緒なりのはからいなんだろうと思った。

頭を冷やせという玲緒の気持ちが、伝わってきたし。

『望美のところ、これから行くだろ?』

「もちろん」

俺は、菖蒲病院に向かった。

望美の病室に着いて、中に入ると奈々美さんが帰る支度をしていた。

「奈々美さん、こんにちは」

「こんにちは、奈津くん。お見舞に来てくれたの?」

「はい。これから帰るんですか?」

「ええ、望美の新しい着替えを置きに来ただけだから」

奈々美さんは、望美の頭を優しく撫でた。

「望美、奈津くんが来てくれたわよ」

「……」

二ヶ月も経つと、ガーゼは取ることができた。

でも、万が一の為に酸素マスクは付けている。

望美のことを知った奈々美さんは、ほぼ毎日泣いていたらしい。

最近は落ち着いてきているみたいだけど。

「じゃあ奈津くん、望美のことお願いね」

「はい」

よく見ると、奈々美さんの目元にはくまが出来ていた。

(眠れていないのか…)

俺はたまに夢に見ることがある。

病室にはみんなが集まっていて、望美の顔には白い布が被せられていた。

俺は、首を左右にふる。

(今考えたことは忘れよう)

俺は、荷物を床に置き椅子に座る。

そういえば、ルルの姿が見当たらない。

「ハヤテ、ルルは何処に行ったか知ってるか?」

『ヴィーナスのところに行ってるらしい』

「ヴィーナスのところか…」

ヴィーナスもキセキの泉計画の為に、本格的に動きはじめた。