妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

あの事件から二ヶ月――

季節は夏になった。

蝉の鳴き声が校庭内で響く中、俺はサッカーの試合に来ていた。

「奈津!」

「はい!」

俺は、先輩からボールを受け取り、ボールをゴールまで運ぶ。

しかし、相手チームに簡単にボールを取られた。

「くそっ!」

「奈津くん、落ち着いて」

翔が俺の肩に手を置くが、俺はそれを払い除けた。

「焦るのは分かるが、もう少し周りを見ろ」

「分かってるよ!」

俺は、玲緒に八つ当たりをした。

自分でも分かっている。

俺一人が焦ったところで、試合の流れは変わらない。

俺は、自分を落ち着かせて、残りの後半戦に臨んだ。

結果は2‐1でギリギリ勝てた。

でも、俺は自分のプレイに納得いかなかった。

「このままの調子だと、奈津くんを試合には出せないです」

水無月が直接俺に伝えてきた。

「教えてくれてありがとう」

俺は、その場から逃げるように水道に向かった。

「きっと、望美さんのことで悩んでるんだね」

翔は、水分をとりながら玲緒にいう。

「…仕方ないさ」

「奈津くん…」

「気にするな有水、直ぐにいつもの奈津に戻るさ」

新は、有水の頭を優しく撫でた。

水道のある場所に向かった俺は、思いっきり水を出して頭から被る。

『奈津、落ち着いたか?』

「なんとかな…」

『どうするんだ?このままだと三日後にある先輩達の最後の大会に、お前は戦力外になるぞ』

「……」

そんなの、俺がよく知っている。

部活のことを集中しようとするんだけど、望美のことが頭から離れない。

もしかしたら、目を覚ましたかもしれない。

容態が急変したかもしれない。

もしかしたら、このまま…。

『おい!聞いてるのか奈津!』

「あ!ごめん」

『お前最近ボーッとすること多いぞ!どうしたんだよ!』

「ハヤテは、心配しなくてもいいよ」

『そんなわけにはいかない!』

ハヤテは、俺の目の前に来ると指をさした。

「理由は、なんとなく察しはできる。だけどな、そんないつまでもうじうじした奈津を、望美が見たらなんて思う!」

その言葉に、俺の肩が少し上がった。