突然の出来事に、田星たちはぽかんとしていた。

田星達がヴィーナスと会ったのは、これが初めてだったしな。

でも、オルドっていう奴とアカツキは面識があったようだったけど、やっぱり知り合いだったのか?

「な、何だか急すぎて思考がついていかないんだけど」

『安心しろ。それはもとからだろ』

「酷いよアカツキ!」

「大丈夫ですよ晶、ちゃんとメモってあるから」

「流石沙弥佳!」

田星は、夏村に抱きつく。

「…じゃあ、今度こそ私たち帰るね」

「あぁ」

「望美の意識が戻ったら、直ぐに連絡下さい」

田星達は、病室から出ていった。

俺は、椅子にドカッと座り額に手を当てた。

『ハヤテ、大丈夫?』

ルルが俺を心配して傍に来てくれた。

「なんとかな…」

俺は、苦笑しながら答えた。

ホントは、余裕なんて無い。

望美がこんなことになって、俺は自分自身に苛立った。

なんで直ぐに自分の気持ちを伝えなかった!

機会はいくらでもあったのに…。

俺は、拳に力を込めた。

『望美…』

ルルも望美のことが心配なんだろう。

俺は、望美の頬に手を当てる、

望美のおでこには包帯が巻かれていて、頬には小さなガーゼがいくつかはってある。

「俺が…、代われたらいいのに…」

無意識のうちにそう呟いた。

『そんなこと言わないでよ!』

ルルが俺の頬をぺちんと叩く。

体が小さいせいか、そんなに痛くなかった。

『奈津が望美みたいになったら、悲しむのは望美じゃん!』

「……」

ルルの言う通りだ。

もし俺がこんなことになったら、望美だって傷つく。

今の俺以上に悲しんで、泣いて自分を責めるんだろう。

そんなこと、望美にさせたくない。