『ずっと、と言ってもいいが、それは妖精達が選ぶ権利がある』

「権利ですか?」

『あぁ、私は妖精達にも権利を与えたい。この計画に参加して、私の元で暮らすか、主の傍で暮らすか』

「ヴィーナスの元で暮らすって、どういうことだ?」

『あぁ、私はこの計画を“キセキの泉計画"と呼んでいる。』

「キセキの泉計画?」

奇跡と同じ名前…。

奇跡と何か関係があるのか?

『妖精達が住める空間を、私は作っている』

ヴィーナスは、微笑むと妖精達と見る。

『お前達が自由に暮らせる場所だ!』

「それが、キセキの泉計画…」

『それは、もう出来ているのか?』

アカツキがヴィーナスに聞く。

『あと数年したらできる。その前に、まず主と妖精を繋げる』

『私達のように?』

カラの言葉にヴィーナスは頷く。

すると、ヴィーナスの隣に一人の妖精が姿を現す。

「うわぁっ!びっくりした…」

田星は、驚いて転びそうになる。

『落ち着け…、オルドだ』

アカツキは、オルドの傍に近寄る。

『久しぶりだな。オルド』

『アカツキか…、相変わらずずっと教科書読んでるのか?』

『まぁな』

なんだろうこの二人の空気は、それに二人の間で火花が散っているようにも見えた。

『ヴィーナス、そろそろ行くぞ』

『分かった』

ヴィーナスの後ろに、扉が現れる。

『ではまた、キセキの泉が出来た時に』

ヴィーナスは、最後に望美に目を向けた。

『意識が戻ることを、祈っている』

「ありがとう」

ヴィーナスとオルドは、扉の中へと消えていった。