「ヴィーナス…、望美を助けることは出来ませんか?」

「小早川…」

『…すまない』

ヴィーナスは、俺に向き直る。

『私は、妖精を助けることは出来ても、人間を助けることは出来ない』

「そうですか…」

もちろん駄目元で聞いてみたんだ。

でも、希望は持っていた。

ヴィーナスなら、望美も助けてくれるんじゃないかって…。

『お前達に、話しておくことがある』

「妖精の話ですか?」

アカツキ達は、それぞれ田星達の隣に行く。

『あぁ、さっきの力についての説明だ』

「その力は、妖精全員が持てるものなんですか?」

夏村がヴィーナスに質問していく。

『あぁ、私は二年前からこの計画を始めた。きっかけは、ルルが消えたことだ』

『私が…?』

ルルは、ハヤテに支えられながら立ち上がる。

『ルル、まだ無理しちゃ駄目だ』

『大丈夫だよハヤテ』

ルルは、ハヤテに微笑むとヴィーナスに言う。

『どうして、私がきっかけなんですか?』

『ルルが消えたのは、私の失態だ。前にそうお前には話したな』

『…はい』

ルルは、軽く頷く。

『そこで、私はオルドと相談して、妖精を消えさせない計画を立て始めた』

「妖精が消えない計画、それが成功すれば、アカツキ達とずっと一緒に居られるんですか?」

『晶…』

「だって、消えちゃうなんてやっぱり嫌だしね」

アカツキは、照れ隠しなのか晶にチョークを飛ばす。

「いったぁ!何するのさ!」

『べつに…』

アカツキは、教科書を読み始めた。