『もう、二度とお前は消させない』

ヴィーナスは、目を閉じてルルに力を注ぐ。

ルルの体が青く光をまとった時、ルルの手の甲に青い蝶の紋章が刻まれた。

ハヤテには、水色の蝶の紋章が、鎖骨辺りに刻まれた。

「青い蝶の紋章?」

ヴィーナスは、目を開けルルから手を離す。

『今のは、一体なに?』

『分からない…』

ヴィーナスは、アカツキとカラに向き直る。

『お前達にも、必要な力だ』

ヴィーナスは、再び目を閉じてアカツキとカラに手をかざす。

そして、アカツキとカラもそれぞれ光をまとう。

『な、なにこれ?!』

『力が…』

アカツキは、赤紫の光、カラは黄色の光をそれぞれまとう。

そして、二人の体にも蝶の紋章が刻まれた。

『これで、お前達が消える心配はない』

「どういうことだ?!」

蝶の紋章を刻むことが、消えないことと何か関係があるのか?

『この紋章は、主と妖精を繋ぐもの』

「主と妖精を繋ぐもの?じゃあ、これでカラたちは消えないの?」

ヴィーナスの言葉を、夏村はメモっていた。

『あぁ、二度と消えることはない』

ハヤテは、軽くルルの体を揺らす。

『ルル!』

『ん…』

ルルは、ゆっくりと目を開けた。

「良かった…」

これを他の妖精達にもできれば、殆どの妖精が消えることがなくなる。

(もしかしたら、聖夜のシビルは戻ってくるのか?)

そんなことを考えていた時、ヴィーナスは望美を見つめていた。