妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

「悪いけど俺彼女いるから」

「えええ!」

すると今度は、周りの女の子たちの悲鳴が上がる。

「それに、俺その子以外しか考えられないから、お前とは付き合えない」

「そ、そうですか……。もしかして、隣の人がそうですか?」

有水は、私をチラッと見てくる。

「そうだよ」

奈津は、言い切る。

「やっぱり、そうだと思いました。二人とも仲良く話をしているのが見えたので」

「そ、そうかな?」

「はい、とても…」

その時の有水の表情が、冷酷なものに見えたのは気のせいだったろうか。

私の体に鳥肌が立つ。

でも、彼女は笑っている。

「では、失礼します!」

有水は、頭を下げて教室から出ていった。

「小早川にしては初めてのタイプの子じゃない?」

「は?」

晶は、奈津の目の前の空いている椅子に座る。

「だって、一目惚れして、迷わず告白だよ。私だったら無理だわ」

「私も…」

そうだよね、普通は告白するか悩む。

でも、あの子は勇気を出して奈津に告白した。

「でも、告白されても断るだけだ」

「そうだよねぇ、望美以外の子に興味ないもんね」

晶は、悪戯を思いついたように笑顔を奈津に向ける。