『奇跡?!』

ルルが泣きながら俺を見てくる。

「救急車は呼んだのか?!」

「い、今呼んだ!」

この怪我…、それに血の量…。

(これじゃあ、ほぼ死は確定…)

俺は、望美に手をかざす。

『どうするの?!』

「話しかけるな」

俺は、シンクとリンクする。

『その姿は…』

俺は、意識を集中させる。

「シンク、とりあえず応急処置だ」

『分かった!』

俺の体が紅く光、蝶の鱗粉が望美の体に付着する。

擦り傷や浅い怪我には、俺の力で何とか出来る。

でも…。

(望美は、頭を強く打っている…)

もしかしたら…。

気がつけば、周りには地域の人達が集まりかけていた。

「酷い怪我だ!」

「救急車は呼んだのか?!」

「はい、今呼びました!」

『望美…』

望美の意識は完全にない。

(最悪の状態だ…!)

俺は、コンクリートに拳を打ち付けた。

『奇跡…』

「くそっ…!」

これは、俺の失態だ。

俺がヒュプを殺さなければ、望美は…。