【奇跡】

「……」

目の前で、大切な人が倒れてる姿が目に映る。

「…っ…!」

あの時の光景がフラッシュバックする。

目の前には、母さんと父さんが血まみれで倒れていて、そして姉さんは――

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

俺は、頭を抱える。

『き、奇跡!しっかりして!』

「あぁぁ…」

何度も頭の中でフラッシュバックする。

『奇跡!!』

「――!」

シンクの声で我に返る。

『奇跡しっかりして!まずは、望美の方が優先!』

「……くっ!」

俺は、拳に力を込めた。

そして、ヒュプ言葉を思い出す。

数時間前―――

『ゲームは、ここからだ』

「どういうことだ?」

ヒュプの体が光を放つ。

『君は…のせいだよ…!ぐっ…、僕と有水の契約は……、まだ終わってないよ……』

「それは俺には関係のないことだ」

『それは…、違うよ…。だって、契約した…からね…』

一体何を契約したっていうんだ。

『これは…、僕が死んだ…な…ら、勝手に…実行される…』

ヒュプは、最後の声を振り絞って言った。

『僕が……、死ぬことによって…、望美は…死ぬ…』

「なっ?!!」

『何言ってんのよ!』

『その目で…、たしか…め…な』

ヒュプは、光の粒と化し消えた。

俺は、小瓶を放り投げた。