「でも、キスするまで二年もかかるだなんて」

「あ、はは」

ごもっともです…。

「でも、それだけ大事にされてるってことだよね」

有水は、少し先に走って振り返る。

「私も、いつかそんな人が出来たら嬉しいなぁ」

「できるよ、だって有水可愛いから」

「ありがとう!」

その時の有水の笑顔はとても素敵だった。

(有水も、素敵な笑顔が作れるじゃん)

そう思った時、有水の体を車のライトが当たる。

「まぶしいっ!」

私も光が指すほうを見た時、凄いスピードで走ってくるトラックが見えた。

「なっ!」

『有水、危ない!』

私は、咄嗟に走りだした。

『望美?!』

「有水!」

一瞬のことだった。

私は、有水の体を押した。

そして――

「母さん!!!」

後ろから声が聞こえた気がしたけど、私の体はトラックにはねられた。

「きゃぁぁぁ!」

『望美!!』

有水達が私に近寄ってくる。

「望美!しっかりして!」

私の周りが、血の海と化していく。

「よか…た…、ぶ…じで…」

意識が遠くなっていく、これで目を閉じたら私……。

「今救急車呼ぶから!」

有水が携帯を取り出す。

『望美!大丈夫だからね、死んじゃ駄目だよ!』

「う……ん……」

でも、瞼が重くなってきた。

「な……つ…」

私の意識は、そこで途絶えた。