「私が欲しかったものを、全部持っていたから」

「そ、そんなことないよ!」

有水は、首を左右にふる。

「貴方は、人を引き寄せる力があると思う。奈津くんもそうだけど」

「そ、そうかな?」

考えたことがなかった。

「多分、私もその力に引き寄せられて、望美さん達に出会った。これは、偶然じゃないかもしれない」

『意外なこと言うよね』

「こっちが、本来の私だから」

『自分で言ってるし…』

有水は、私に頭を下げた。

「あ、有水さん?!」

「今までのこと、本当にごめんなさい!」

「あ、頭あげて!」

「でも…」

「謝らなくていいよ」

私は、有水さんの手をとる。

「私は全然気にしてないから、それにね…」

私は、ずっと思っていたことを言葉にした。

「私は、有水さんと友達になりたいの」

「わ、私と?!」

有水は、驚いて目を見開く。

「だめ、かな?」

「…こんな…」

有水の頬に涙がつたる。