「私は、最初奈津くんが私のものになってくれれば、それで良かった。でもね…」

有水さんは、星空を見上げた。

「全然私のこと好きになってくれないし、望美さんの事が一番に好きで、そんな奈津くんにね」

有水は、私を見つめた。

「本気でほしいと思うようになった」

「なら…」

「でもね、奈津くんに気付かされた」

「奈津に?」

『奈津のおかげなんだ』

有水とフレイアは微笑む。

「私は、小さい頃お母さんに見限られたの」

「お母さんに?」

有水は、軽く頷く。

「凄くショックだった。お母さんは、新だけに期待していて、私もお母さんに認められようと頑張ったんだけど、最後まで認められなかった…」

「有水さん…」

「…私は、両親に愛されてなかった。だから、親の愛情がよく分からない」

私は、昔の自分を思い出した。

両親が共働きのせいで、お父さんもお母さんも中々家にいなくて、一人ぼっちだった。

でも、私には奈々美さんがいた。

奈々美さんから、お父さんとお母さんが本当に私を愛していてくれたことを聞いた。

「有水さんにも、愛してくれてる人がいるよ」

「え…?」

「成瀬くんがいるじゃない」

成瀬くんは、本当は有水を心配していた。

それは、心から有水を心配している事だと思う。

「私ね、両親二人とも他界してるんだ」

「…そうなんだ」

「でも、両親は私を愛してくれていた事が分かった」

「私たちは、似てるところがあるんだね」

「そうだね」

私と有水は、一緒に笑った。

「それで、私が心から欲しいものは、奈津くんじゃなくて、フレイアと私を愛してくれる存在」

フレイアは、有水の肩に座る。

「私は、望美さんが羨ましかった」

「私が?」

なんで私なんかを?