妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

「望美、後で俺も貰っていいか?」

「いいよ」

「あんたも持つのかよ」

俺は、ボソッと言った。

『あ、いたいた!』

『あ、ルル・ハヤテ!』

俺達のところに、ルルとハヤテがきた。

「おかえり」

『ただいま』

奈津は、ハヤテに笑いかけていた。

そんなハヤテは、ホッとしているようだった。

(そうか、奈津はあの話を聞いたのか)

妖精が消える話のことを。

でも、俺はこの人達に話す気はない。

それは、そろそろヴィーナスが姿を現すからだ。

「じゃあ、俺帰るよ」

「え、急じゃない?」

『そうだよ奇跡!まだ時間あるじゃん』

「十分楽しめた」

俺は、階段を降りていく。

「また、いつでも来てね」

「待ってるからな」

俺は、返事の代わりに手を軽く上げた。

学園の外に出て、俺は足を止める。

『もう、急にどうしたの奇跡』

「いや、別に…」

俺は、ただ前を見据えた。

そして、俺達の目の前に――

「やっと、お出ましですか“ヴィーナス"」

『……』

金色の髪が夕焼けに照らされていて、虹色の瞳が俺の姿を捉える。