妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

「俺の目的は、アクを誘き出すことだ」

『あ、アクは、自分から出てくることしないよ』

「どうかな…」

そこで、ヒュプの尋問は終わった。

とりあえず、奈津にかけた術は解かせた。

だから、奈津の気持ちは完全に戻っているはずだけど。

さっきの校門前でのイチャ付きを見て、まだ戻っていないとみた。

見ててイラついた。

(くっつくなら、さっさとくっつけっての)

俺は、チラッと望美の方を見る。

望美は、楽しそうに奈津と話していた。

(ま、これでもいいか)

二人が元に戻るのは、もう決まっていることだしな。

「ねぇ奇跡」

「なに?」

「たこ焼き買ったら、他どこか行きたいところある?」

「そうだなあ…」

行きたいところは、たくさんある。

でも、どうせなら…。

「遊園地行きたいな」

「え?」

「遊園地か?」

「あぁ、一度も行ったことがないからな」

俺の時代に遊園地など存在しない。

いや、存在はしていた。

なくなったんだ。

俺の時代では、殆どのものが消されたからな。