「その話、聖夜くんから聞いてるよ」

「は…はぁ?!」

ま、まじかよ…。

俺の取り越し苦労かよ。

俺は、溜め息を着いて額に手を当てる。

「知ってたのか…」

でも、すこし安心した。

「ありがとう奈津、心配してくれたんだよね?」

「え…、ま、まぁ…」

少し照れくさくなる。

「奈津は、大丈夫なの?」

「え、なにが?」

「ハヤテのこと…」

その言葉で、さっきの気持ちがまたこみ上げてきた。

「そうだな…、正直今自分の気持ちが分かんない…」

「奈津…」

「何ていうんだろうな、この気持ちは…」

俺がそう言うと、望美は優しく俺を抱きしめてくれた。

「――!」

「きっと大丈夫だよ。ハヤテやルルは、私達の傍に居てくれると思う」

「…強いな、望美は…」

「強くないよ。でも、もし本当に別れが来たなら、私は笑顔でちゃんと、ありがとうと伝えたいよ」

「…そうだな」

俺は、望美を抱きしめる。

「ごめん、少しだけ…、いいか?」

「…うん…」

俺は、静かに少しだけ泣いた。