妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

『いってぇ!!』

コウヤは、頭を抱えて座り込む。

『いきなり何しやがる!!』

『別に……』

『て、テメェ……!』

コウヤは、アカツキに殴りかかるが、逆に教科書の角で頭を叩かれ、返り討ちにされてしまった。

『痛そう…』

「まぁ、二人は置いておいて―――」

沙弥佳は、私たちのクラスを発表した。

私・奈津・晶・沙弥佳は、一年A組。

咲楽・玲緒は、一年C組。

翔・史絵・佳絵羅は、一年D組。

「あらら、上手く別れたもんだね」

「望美と別のクラスですか……」

佳絵羅お姉ちゃんは、肩を落とす。

「す、すぐに会えるよ佳絵羅お姉ちゃん」

「そうです!忘れてました」

佳絵羅お姉ちゃんは、私に歩み寄る。

「その佳絵羅お姉ちゃんは、今日から卒業です!」

「え?」

卒業ってどういうこと?

「そろそろ、私のことも“佳絵羅”って呼んでください」

「あ…」

そっか、今までずっと佳絵羅お姉ちゃんって呼んでたから、それを卒業するってことか。

でも、すぐに呼べるかな?

「か、佳絵羅…」

「はい!」

呼び捨てにされて嬉しいのか、佳絵羅は満面の笑みを浮かべた。

「やっと望美に呼び捨てにされました。嬉しいです!」

と、その時佳絵羅の携帯が鳴った。

「あ…、それでは私はここで失礼します」

「え?何で」

「お呼びです」

佳絵羅は、嬉しそうに先に学園の中へと入った。

「あれは、完璧恭也先輩だな…」

奈津は、小さな声で私に言った。