あれから二年──

私は、不思議な夢を見た。

赤い真紅の髪が見えて、こちらをじっと見てくる。

私に何かを話しかけている。

だけど、何て言っているのか分からなかった。

私は、その子に手を差し出す。

しかし、その子は首を左右に振る。

そして──

「いたっ!」

私は、ベッドから落ちて目を覚ました。

部屋の中では目覚ましが鳴り響いて、ルルは今起きたのか、眠たげに目を擦っていた。

『ふわぁ、おはよう望美。何か大きな音したけど?』

「だ、大丈夫!」

ベッドから落ちたなんて言ったら、絶対笑われる。

みなさん初めまして、でいいのかな?

私は、莎々原望美(ささはらのぞみ)です。

今日から高校一年生です。

「望美ー!起きたの?」

下の階から、奈々美さんの声が聞こえた。

「い、今起きた!」

私は、鏡を見ながら髪型を整える。

『いよいよ、今日からだね』

ルルは、私の肩の上に座る。

「そうだね」

あの事件から二年、ルルはちゃんと私の隣にいてくれる。

消えたんじゃなくて、新しく生まれた友情の妖精──ルル。

でも、友情の妖精になっても、変わらず絵は描いている。

前の『絆コンクール』という、絵のコンクールで、私は最優秀賞を貰った。