「良かった…。フレイア、無事で」

『有水も、無事でよかった』

奇跡くんは、ヒュプの入った小瓶を鞄にしまうと、歩いていってしまう。

「ま、待って!」

「まだ何か?」

奇跡くんは、ウザそうに私を見てくる。

その表情が奈津くんそっくりな気がした。

「フレイアを助けてくれてありがとう」

私は、奇跡くんに頭を下げる。

『今度からは、ちゃんと大切にしなくちゃ駄目だよ』

奇跡くんは、シンクと一緒に行ってしまった。

『何者なんだろう。シンクと奇跡って子は…』

「そんなの、どうでもいいよ」

私は、フレイアを抱きしめる。

「フレイアが無事なら、それで私はいいの」

『有水、見ないうちに強くなった?』

「そうかな?」

私とフレイアは、笑いあった。

こんなに笑ったのは、いつぶりかな?

「おかえり、フレイア」

『うん!ただいま有水』

私とフレイアは、校舎に向かって歩き出した。

だけど、この時私は忘れていたんだ。

ヒュプの契約が、まだ続いていたことに―――。