妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

『有水!』

「――!」

そのとき、フレイアの顔が浮かんだ。

『もう、駄目だよ有水。温かくして寝なくちゃ』

『有水、朝だよ』

『有水、これ有水に似合うよ』

『有水』

『有水――』

私の中で、フレイアとの思い出が流れる。

『私は、ずっと有水の傍に居るよ。有水が、心から幸せを掴むその日まで』

私の頬に涙が伝った。

それを見た奈津くんは、驚いて目を見開く。

「私が、心から欲しがってるものは…」

そして、新の姿が浮かぶ。

「有水は、たった一人の俺の妹だ」

「お前のためだ」

「有水!」

ママが出て行ったあの日、新は言ってくれた。

「離れてても、俺はお前の味方だからな」

何で忘れていたんだろう。

私は、手で顔を覆ってその場から走り出した。

「おい、水無月!」

奈津くんの声がけ後から聞こえた。

でも、立ち止まることなんて出来ない。

「私が、本当に欲しいものは…」

コンクリートに、一つの雫が落ちる。

「フレイア…、新……」

私が欲しかったものは、心から友達と呼べる存在と、私を見ていてくれる存在。

そして、私を愛してくれる存在。