『奈津、同情はするなよ』

「あぁ…」

同情はする気にはなれない。

だから、俺ははっきり告げようと思う。

水無月の気持ちには、答えられないこと。

『そろそろ、教室戻ろうぜ』

「そうだな」

俺達も、校舎に向かって歩き出した。

「奈津くん」

そのとき、後から声をかけられた。

「なんだ、水無月」

「奈津くんに、話があるんだ」

フレイの言っていたとおり、水無月の近くにフレイアの姿は見当たらない。

それに、いつもの水無月じゃないみたいだ。

「フレイアは、どうした?」

「フレイアは、今ここには居ないよ」

水無月は、何かを隠している感じがした。

でも、それを話す気はなさそうだ。

「話ってなに?」

「ここで話してもいい?」

「別に構わないが」

俺は、ハヤテに目を向ける。

『俺は、離れる気はないぞ』

「そう言うと思った」

俺は、水無月に向き直った。