【奈津】

「俺は、有水を助ける為にこの学園に入った」

「だから、水無月の為に色々と」

「まぁな、一応おれ兄ちゃん達だしさ」

俺は、水無月の過去を知って、望美の姿が浮かんだ。

水無月と望美は、似ているところがあった。

学校でのいじめ。

そして、親への愛情。

望美は、それを全部乗り越えた。

だけど、水無月はそれが出来ていない。

自分を守るために、自分のためになるようにあいつは、いつも行動をしていたんだ。

そして、水無月にまったく興味を持たない俺と出会った。

心から俺を欲しがったんだろうな。

水無月が欲しかったものは、親の愛情と、自分を愛してくれる存在。

水無月は、それを俺に求めているんだ。

『だが、あいつがやっている事に、俺は賛成出来ない』

「それは、俺も同じだ…」

だからといって、望美を傷つけることは筋違いだ。

「俺は、どうしたらいい…」

「それは、お前が決めろ」

『フレイアの方は、気配を探って調べてみる』

『俺達の方でも何か分かったら報告する』

『助かる』

新とフレイは、先に校舎へと戻っていった。