『この子は、人質だよ』

「なんで!フレイアは、関係ないでしょ!」

『だって、こうでもしないと君は動かないじゃないか』

私は、拳に力を込める。

「……分かった」

『駄目だよ有水!』

私は、ヒュプに目を向ける。

「望美を消せば、フレイアを返してくれるんだよね?」

『もちろん。それに、奈津も君のものだ。あ、でも望美を殺すことは辞めてね』

ヒュプは、頬を染めて笑う。

『望美の命は、最後に僕が貰うんだから。そう、契約したよね?』

私は、軽く頷く。

『楽しみだなぁ』

ヒュプは、楽しそうにその場でまわる。

『でも、このことを誰かに話したら、どうなるか分かってるよね?』

ヒュプの視線に、私の体に鳥肌が立つ。

『それじゃあ、またね』

『有水!』

ヒュプは、フレイアと共に消えた。

「ごめんフレイア。でも、私はやるよ」

私は、その時決意した。

「奈津くんの為じゃない。自分のために、フレイアのために私は―――」

望美を消すよ。