『早く奈津を君のものにしてよ、じゃないと契約が成り立たないよ』

「そんなの…、もうどうでもいいよ…」

契約のことなんて、もうどうでもよかった。

奈津くんを私のものにする前に、奈津くんに嫌われたら駄目だ。

私の中で、奈津くんは大きな存在にまでなっていた。

奈津くんが欲しかった。

今まで欲しいものはたくさんあった。

友達や親の愛情…。

そんなものより、奈津くんが一番欲しい。

なんでここまで奈津くんに執着するのか、自分でもよく分からない。

でも、それくらいになるまで、私は奈津くんが本気で好きなんだと。

今ようやくわかった。

『契約を辞めるなんてこと、そんなことさせないよ』

ヒュプは、私の目の前に来る。

『だって、君は心から奈津を欲しがってる。なら、方法はただ一つだよ』

「ただ一つ…?」

『有水…』

ヒュプの言葉が私の中に響く。

『望美を消すんだよ…』

「望美を…、消す…」

『だから、君はあんなことをしたんじゃないか』

違う…、それは――

私は、頭を抱える。

『有水駄目だよ!ヒュプの言葉に耳を貸しちゃ駄目だよ!!』

『うるさいな』

ヒュプは、フレイアに手をかざし、小瓶の中に閉じ込める。

『ちょ、なにこれ!』

「フレイア!」

小瓶を奪い返そうとした時、ヒュプがそれを阻止する。