【有水】

『ねぇ、有水大丈夫?』

「……」

私は、帰ってきて部屋に引きこもった。

(なんで…)

何であんなことになったの?

私は…、私はただ驚かせるためにしただけなのに。

なのに、何であんなことに――

あの時の事が、私の中でフラッシュバックした。

木材が望美さんに倒れる瞬間を、私は見ていた。

だけど、怖くなってあの場から逃げた。

誰も私だとは分からないと思う。

だけど、もし誰かが知っていたら。

(もし、奈津くんにこの事が知られたら…)

私は、完全に嫌われる。

そして、周りからも変な目で見られる。

「もう、あんな思いはたくさん……」

思い出したくもない、あの出来事。

(私がやろうとしてることは…、間違ってるの?)

もう分からなくなってきた…。

『ねぇ、君いつまでそうしてるの?』

「…ヒュプ!」

私の部屋に、苛ついているヒュプが姿を現す。

『何しに来たのよ?!』

『有水が中々行動を起こそうとしないから、様子を見に来たんだよ』

「様子を?」

どういうことよ…。

ヒュプの狙いは、一体なんなの?