「…でも」

奇跡は、微笑んで言った。

「胸のあたりが、温かくなったよ」

その言葉を聞いて良かったと思った。

「おい、お前ら何してる…」

『やっと帰ってきた』

奈津は、少しイラついているように見えた。

「別になにも、俺はそろそろ帰るよ」

さっきの笑顔は何処かへ消えて、奇跡は扉の方に向かう。

「そうだ。俺あんた達の文化祭行ってみるよ」

「ホント!」

なら、みんな紹介しないと駄目だよね。

「待ってるね」

「あぁ、おいシンク行くぞ」

『えー!なんでよ』

「お前、状況を考えろ」

『あ、はい…』

シンクは、がっかりして奇跡のところに行く。

「奇跡!」

病室を出ていく前に、奈津が奇跡を呼び止めた。

「ありがとう」

「……」

奇跡は、何も言わずに病室から出て行った。

『ありがとうってなに?』

「いや、こっちの話だ」