「もう一つ、忠告しといてやる」

「なんだ?」

奇跡は、かけている眼鏡を取ると言う。

「有水には、気をつけろよ」

「えっ…」

なんで、奇跡が水無月のことを?

「あいつは、お前に何かしてるぞ」

奇跡は、首に指をさす。

「首?」

そういえば、最近首筋が痛む時がある。

でも、それは決まって望美のことを考えた時だ。

「あとは、直接本人に聞け」

「お前は、一体何者なんだ…」

俺達の間を風が通り過ぎていく。

「俺は、奇跡だ」

奇跡は、それだけ言うと屋上から出ていった。

そして、俺は首筋を抑える。

(もしかして…)

あいつが、俺の気持ちを操作しているのか?