「お願い…、行かないで」

そんな私に、奈津は頷いてくれた。

『あのね望美、奈津が望美を助けてくれたんだよ。あと、新や玲緒も』

「奈津…が?」

奈津は、じっと私を見てきた。

「お前は、木材の下敷きになったんだよ」

「えっ…」

木材の下敷きに?

一体なんで?

「俺は、先輩に頼まれて木材を取りに行くところだったんだ。それで、ルルからお前が木材の下敷きになったって聞いて…」

奈津は、そこから先言うのをためらったけど、覚悟を決めて言った。

「俺は、それを聞いて居ても立ってもいられなかった」

「…なんで?」

「望美が、死ぬと思ったからだ」

私が死ぬと思ったから?

そんなに、大変なことが起きたのかと、私は実感した。

「私…、奈津に言わないといけない事があった気がするの…。でも……」

それは、思い出せない。

『一時的な記憶障害かもしれないな』

『そんなぁ!せっかく望美が自分の気持ちを…』

私の気持ち?

「それは、改めて聞く」

奈津は、私に頭を下げてきた。